このレビューはネタバレを含みます▼
火葬場の仕組みに関する諸々、そこで働く人の矜持等が深く描かれていて、とても完成度が高いと思います。
写実的な絵ではないのに、職員さんのキャラクターの魅力、ご遺族のデリケートな雰囲気等がよく描き分けられ、その場にいるようにバシバシ伝わってきます。
ご遺体の変容の描写も生々しく、ギョッとする瞬間もあるのですが、作品全体に真摯さが満ちているため、決してグロテスクさで目を引こう的な不謹慎さはありません。
そして、遺族や故人へのやさしさにあふれていることも大きな魅力です。特に、「スゲさん」のエピソードは、「死産した胎児をこれほど可憐に描けるとは」と心に染みる場面でした。
また、最新刊4巻では少し視点が変わり、今も残る火葬場への差別が描かれています。各キャラクターの仕事への向き合い方を読んできた分、「じょうちゃん」達が気の毒で仕方ありませんでした。
この漫画を読んで、「これは差別されても仕方ない仕事だ」との感想を抱く読者は稀でしょう。この作品自体が、偏見を変えていく力になると思います。