このレビューはネタバレを含みます▼
広告の絵柄が気になり、タテヨミの無料版を読み始めたら、続きが読みたい衝動が止まらなくなりました。
夜画帳を読むためだけにシーモア会員になり、初めてネットで漫画を購入。家族に見られたくないので、ネット版がなければ読むことはなかったと思います。
最初は若の暴君ぶりといっちゃってる表情が怖く、主人公のナミンの視点から読んでいましたが、
次第にナミンのことに苛立つ若の表情に心の内が読み取れるようになり、若の魅力に惹かれ、若の目線で読むように。
無理矢理にナミンに行為を強いる場面は、表情から心の傷が感じ取れ、胸が痛い。
(20~22巻のナミンが逃げたと勘違いするあたり。
恋心を告白した後だけに、ナミンが姿を消したと気付いた若が、どんなに傷ついたかを想像するだけで苦しい)
若が恋心を自覚してからは、それまで行為中にナミンに逃げられないように手首を掴んでいたのが、
思いを伝えるかのように手を繋ぐようになり、
抱き締めたり、髪を撫でたり、体をそっと置いたり、若の仕草の随所に、ナミンが大切だと分かる変化が見られます。
あくまでナミンが快感で無我夢中だったり、寝ている時などにしかその愛情表現を出さない若に、拒絶が怖いという恋の臆病さと繊細さが見てとれ、
行為の描写にもエロいだけでなく、ひとつひとつの行為に二人それぞれの心情が分かるので更にときめく。
少しずつ若の優しさに気付き始めるナミンも可愛いです。
若のナミンの呼び方も、貴様→そなた→ナミンと変わっていき、今では大切な宝物のように「ナミン」と名前を呼ぶ若の姿に、胸がときめきます。
25巻でナミンから拒絶されなかったけど、それでも不安が消えなかった若が、ついにナミンに受け入れられたと安心して態度に出すようになった31~33巻は読んでいて幸せです。
若がナミンに愛され幸せそうな姿を見るのが、こんなに嬉しいなんて。
その分35巻でナミンが傷つけられる姿を目の当たりにした若の涙は衝撃でした。あの若が泣くなんて…
どんどん人間味が溢れる若から目が離せません。
ストーリーも登場人物も魅力的で、裸体が多いからこそ肉体のデッサン力の高さにも目を見張ります。
BLはあんまり…という方にもおすすめしたい。名作だと思います。