このレビューはネタバレを含みます▼
販売前からずっと楽しみにしていました。読み終えた後、どうしても感想をお伝えしたかったのに何で遅れば分からず途方に暮れていましたが、ここでお送りできると分かって嬉しいです。
酷い背景のある2人が、酷い出会いをする。足りないものを2人で補って生きていこうと思ったのに、離れることに、いや、意思を持って離れる。
これは個人的な話ですが、片方が意思を持って、人生を掛けて逃げる。もう片方が人生を掛けて追う。そうした作品がとてもとても好きで、ただこの世には滅多にないので、発売の予告説明から驚いて、心震え、今か今かと待っていました。
好きな設定だと読み始めましたが、その展開の前から2人が酷い背景を持ち、それを補い合う関係性、一気に心惹かれていく様や周りの変化が丁寧で、なんと可愛らしくて美しいのだろうと思いました。
逃げ、追いかけるときに、それぞれちゃんと人生を送っていけていること、それは愛を思いながらの行動なのがやはり美しくて、また文章が丁寧で少し独特でするすると読めました。
人生でここまで泣き続けた作品はなかったように思います。何度読んでも、ずっと泣き通しです。思い出してここに書いている今も止まりません。
こんなに泣き通すのはなぜだろうかと思いますが、映画のようにさらさら読めて、ドラマティックで、波のように勢いがある小説全体の力があるからかなぁと思っています。2人の人生を追うために、何度も表紙を見て2人の顔を確認していました。
読むカロリーが高いのに、何度も読んでしまう不思議な力を持った作品でした。読みたい箇所をピックアップして読んだり、また最初から読んだりとすっと本を開けています。
素敵な作品をありがとうございます。元々大好きな設定で、その上にさらに素晴らしいストーリーが乗っていて、この先の人生で何度も読み返すような気がします。
本当に、ありがとうございました。