このレビューはネタバレを含みます▼
前作からの引き続きで読みました。読後、切ないような悲しいような、色々な気持ちがわきあがり胸がいっぱいになりました。後読感がいいとは言いづらいですが、罪と本当の償いとはどういうことか、家族、生きるということ、など、重く深いテーマについてよくよく考えさせられるお話でした。
前作の加害者側の家族のその後で、加害者裕一の弟が主人公ですが、個人的には終始裕一のことが気になりました。
裕一が前作で犯した罪は決して許されないことですが、一度罪を犯したら本当に少しも幸せにはなってはいけないのでしょうか?甘い考えかもしれませんが、自分の罪を心から悔いて愛する家族の為に自ら孤独となり、贖罪の為だけに生きているような裕一には、もう少し救われて欲しいな、と思ってしまいました。そもそも、裕一が罪を犯してしまった背景にも同情の余地が十分にあったわけで。(勿論、だからと言って犯した罪が許されるわけではないですが)
最後に、主人公と和解?してほんの僅か救われた感がありますが、少なくとも前作の被害者家族が裕一に望んだことはこんな生き方ではなかったのでは、とどうしてもモヤモヤが消えませんでした。
また、主人公が殺人犯の弟とわかった後の周囲の対応を見て、人間って本当に怖いし醜いなと思わずにはいられませんでした。懸命に誠実に生きようとする人を、その人の本質を見極めようともせず、ただ迫害し傷つける。それも、十分罪深いことなのでは?
ただ、あくまで客観的に作品を見ての思いなので、もし現実に同じように殺人の加害者家族が自分の近くにいれば、やはり同じような言動をしてしまうのかな、、、。