聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました~力を解放したので国が平和になってきましたが元の国まで加護は届きませんよ~
よどら文鳥/ミドリ
このレビューはネタバレを含みます▼
オンライン小説のクオリティはどんどん下がっているので細かい表現の稚拙さなどは目を瞑っていましたが、これはあまりに酷いと思い、書かせていただきます。
まず、残酷さ・残虐さの表現としての性加害描写をあまりにも軽やかに描きすぎています。
しかもそれに対する刑罰も"登場人物が行った残虐な行為と同等の性加害"であるというのはグロすぎる。コメディ調で描写されていいレベルではないです。
グロテスクな表現をすること自体が悪いとは言いたくないですが、表現するからには、もっと歴史を勉強した上で、もう少しこれまでの被害者や闘ってきた人々に対する敬意を払いながら、表現をより研ぎ澄ませた方がいいと、どうしても思ってしまいました。
また、刑罰として同性からの性加害が描写されていることも、文脈としては「女好きの登場人物なのに男からそういった加害を受ける」という意味なのでしょうが、同性愛者がマイノリティでこれまで残虐な迫害を受けてきた文脈を考えても、「ざまあ」の文脈で刑罰として性加害・同性からの性加害というのを安易に使っていい表現とは思えませんし、一歩間違えればヘイトの助長になりうる危険な表現であると感じました。そんなつもりはないのだと思いたいですが…。
こんなレビューを書いたところで…と思いつつ、一表現者として、上記の内容についてはあまりに心のない表現が苦しく、物語を楽しみにして作品購入した身としてはラストにかけての上記のような描写の稚拙さにがっかりしてしまいました。
とはいえ作家の問題というよりは、編集部の配慮不足、力量不足のようにも思います。今後もっと力をつけていだき、ストーリー構成力を生かしたより魅力的な作品が生まれることを祈りたいです。