水織さん

小説のつもりで読むと『なんじゃこりゃ』ですが、ビジネス書として読むと『なるほどね』という感じです。ビジネス書を読みやすくした漫画がありますが、その小説版といったところです。小説として期待するなかれ。ビジネス書は都合を分かりやすく説明する本なので、ご都合主義もいいところの薄っぺらい内容になっています。その反面、決断力、実行力、反発に対する向き合い方、などの考え方や重要性がよく分かります。映画化、正気か？

ぜひ読んでほしい！
まずは清王朝末期という時代背景が良い！
阿片戦争に敗れ、日清戦争にも敗れ、西欧列強や日本に蹂躙される中国。泥舟のような王朝の舵をどこへ切るのか。激動の時代に生まれた2人の主人公が、官僚と宦官、皇太后派と皇帝派という対立する立場から国の行く末に関わる激流に飲み込まれていく、とにかく壮大でドラマチックなお話です。歴史上実在した人物も登場します。
キャラクターも魅力的で、主人公の1人春児は貧しい家の生まれ。賢く素直で純粋でとにかく可愛い！春たんしか勝たん。もう1人の梁文秀は良家のお坊ちゃんで、春児の兄の義兄弟。がき大将のような捻くれ者だけど、優しく道理の通った人物でとにかく格好いい！弁髪のイケメンまじ尊い。
流れるような美しい文体と文学的な趣深い表現で、中国の文化や風俗が違和感なく入ってきます。10年来の愛読書ですが、何度読んでも味わい深く、感動と興奮が止みません。NHKでドラマ化、宝塚で舞台化されています。
中元の虹と珍妃の井戸とマンチュリアン・リポートも是非！ファンが増えてくれたら嬉しいです。

ヒロインと悪役令嬢の百合を完全性別転換したようなBLです。日本語訳が出る前から、魔翻訳で一通り読んでいましたが、まあ面白い！初めて新刊自動購入をしました。毎週木曜日が楽しみでしかたありません。
墨香銅臭さんのお話は全部読みましたが、これが一番好きかもしれない。ツッコミどころが多いストーリー展開で、的確に突っ込んでくれる主人公最高です。誰か春山恨を配布してくれ！

短いお話の中に2人の人間の人生が凝縮されていた気がします。人生に完全な正解はないけれど、選んだ道の中で最大限の幸せを模索していっていった結果のお話だと思いました。メリーバッドエンドではないけれど、決して単純なハッピーエンドとも言えない感じ、とっても好きです。ノスタルジックな美しい景色も相まって、儚く耽美な雰囲気も素敵でした。