このレビューはネタバレを含みます▼
施設で育ち、親の顔も知らない主人公が美しいボスに拾われ、仲間とともに敵と戦うという話の構造はチェーンソーマンを彷彿とさせますが、この主人公の求める夢が実際の年齢よりも幼く、子どもが親の愛を求めてるかのように感じられますし、組織のあり方や各キャラの要素を考えると、血筋、家族、親と子といったキーワードに重点を置いた物語。そこに面白さを感じました。
私が読んでいて面白いと思ったのは、
「主人公が施設で育った仲間との夢だった普通の生活を叶えていくが、それが思っていたほど夢のある話じゃなかったという虚しさが度々描かれるところ」
「人間に寄生することで生まれ、異質な存在であるサキュバスが人間の家族を模倣している事で生まれる歪さ、その気持ち悪さが際立っているところ」
「父、母をトップとした組織の対立構造など家族の要素を分解して、物語やキャラクターや組織の特徴づけに盛り込んでいるところ」
それにサキュバス側がビッグダディという父親を頂点とした組織と考えると、家父長制という概念をモチーフにした組織でありそうですし、それを打倒しようとする阿光アマネが妊婦で母というのも面白そうです。実は家父長制をぶっ倒すというのが大きなテーマになってたりしませんか?
今後の物語の展開次第で、伏線として繋げたり、家族の要素を掘り下げられて、さらに面白い話に化けそうな予感がしています。なんとなくですが、10巻超えたあたりからものすごく面白くなるタイプの漫画なのかもしれません。期待の作品です。