sky marchさん

阿賀沢先生の作品が本当に好きです。
繊細な10代の感情、心の動きの表現が本当に上手で、読者側の心を鷲掴みにしてきます。

誰もが一度は思ったことがある、喜怒哀楽に収まらない「何だこの気持ちは」というものを全て言語化されていると言っても過言ではないと思います。
当時の自分の中では解消されなかったけど、勝手に時間が解決してくれた心のモヤモヤたちがスッと整理されたり、これってこういう感情だったのかと気付かされるようなシーンもありました。

本当に10代の時にこの作品に出会いたかった。そして今悩んでいる中高生たちにも読んでほしい。何かしらの解決の取っ掛かりがあるかもしれない。
そう思える作品だと思います。
もちろん日々に忙殺される大人たちにも、読んで頂きたい作品です。

また特に好きなところは、主人公自身が悩んで辿り着いた考え方や価値観に基づいて成長していることがわかるようになっていることです。
主人公補正(ヒーローが助けてくれる、主人公の性格が良すぎる等)によってライバルなどと折り合いをつけるわけでもなく、周りの環境によって感化されるだけでもありません。主人公の短所となっている部分や綺麗ではない感情などがきちんと表現されています。更に、主人公が反省したとしても直ぐにその部分が直るわけでもないリアル感が絶妙に心を掴まされます。

もちろん恋愛要素もあるのですが、人間関係の構築の難しさや、自分の中にある感情とどう向き合うか、そこにフォーカスも置きつつ学生の日常も味わえる非常に好きな作品です。買って損はないはずです。