このレビューはネタバレを含みます▼
中身の濃かった1巻目では、周囲の人間に密かに復讐を誓う主人公(人間)と、それに協力する魔物(主人公の初恋の相手)がヤヤ長い誤解期間を経てしかし思わぬ事で理解が深まり、気持ちが通じ合う、と言うところで終わってましたが、本作ではやっと(2巻目なのにやっと、と言いたくなるくらい中身が濃い)主題の主人公の復讐が果たされます。この復讐の場面に至るまで、成すまでの主人公や元婚約者の人間の王子の感情の動きなどがつぶさに描かれ、かなりドラマティックに表現されていて(そして主人公は人族である事を捨て、主人公以外の国民はほぼ均一に肉体的精神的に断罪される)、何度も読み返したくなるスルメ感覚な文章力の高さです。
主人公の二人(人である事をぽいっと捨てたディアと魔物の王であるノイン)が、別段、ベタベタするような場面は描かれる訳ではないのだけど、案外そこかしこにぽっと熱を含んだ表現が入って、相思相愛になった者同士のしっとりした感情が感じられて良いです。