おねがいヒーロー涙をみせて【電子限定描き下ろし付き】
早寝電灯
このレビューはネタバレを含みます▼
鹿角が抱えていた過去を知った途端に、これまでの丁寧すぎる心理描写が腑に落ちました。
鹿角が誰にも言えずに、自分の心の中でも消化しきれずにいた過去を高里と再び関わることで、丁寧に、焦らず紐解いていかれる様の心理描写がとても素敵でした。
鹿角が悩みを打ち明ける前までは、楽しそうな大学生活でありながらも、どこか息の詰まった感じが、喉に何かがつっかえているような雰囲気を感じました。
所々で出てくる鹿角の遠くから過去を見つめているような目がとても印象的でした。
高里のこれまでの苦悩は細かく描写されていませんが、自分本意になりすぎず、相手を慮る言動から、高里も色々悩み、悩んだ上で鹿角を大切にしたい気持ちが感じ取れました。
10年以上の付き合いだけど、どこか他人行儀らしさが存在する2人が大学の同居生活を機に、自分と向き合い相手と向き合い1つずつ成長していく物語でした。
とても可愛らしく青く、素敵で豊かな物語でした。