このレビューはネタバレを含みます▼
久々に読んで良かったと思えた作品だった。
恋愛とは呼べなくても、一緒にいたいと思える人がいる。
必ずしも恋や愛でなくてもいいのだと、物語を通じて自分と照らし合わせながら読んだ。
私自身、「世間の普通」や「思い込み」「男女の関係は性愛である」ということに疑問を抱いていたので、主人公たちと共感できる部分が多くあった。これが読んで良かったと思えた理由なのかもしれない。だからこそ、主人公たちを取り巻く心ない「世間の声」の描写が苦しかった。文章でここまで感情を揺さぶられたのは久々だ。
文章といえば、この作者の表現方法の一つなのか、とても読みやすかった。滑らかに頭の中に入っていく感覚。この感覚のおかげであっという間に作品を読んでしまっていた。文字書きの端くれとして参考にしたいと思う。