このレビューはネタバレを含みます▼
作者さん買いで読みました。
さすがはリカチ先生!と思う奥深い物語。
昭和初期の時代背景なので戦争の影も色濃く描いていて、平和の意味も考えさせられました。ラストは涙が止まらないです。小夜子のような思い、浅海のような無念の想い、当時はそんな経験をされた方も多かっただろうな…。ハッピーエンドの道もあったと思うけど。
夢も未来も日常も理不尽に奪っていく戦争を、目を背けず描いたことに作者さんのメッセージを感じました。
家族愛、親愛、友情。恋、友愛、情。いろいろな愛のカタチ。リカチ先生ならではの表現があり、小夜子はもちろん、月子ちゃんや浅海の家族の話にも心揺さぶられました。
小夜子のお相手にも注目。天良ももちろん素敵で!途中どちらでもありかと思いましたが。
幼い頃からの夢を語りあったり、小夜子の家族のことで奔走したり、これまでの小夜子を人としても支え、絆が深かったのは浅海だった印象。恋愛では浅海と結ばれる展開が、音楽が根底にある作品のテーマにも合っていてよかったなぁと。
共に目指した夢と音楽のチカラが小夜子の心をずっと支えるのでしょうね。月日の中でカタチを変えて育まれる愛もあると思う。小夜子のこれからは、きっと天良が支えていく。
二人の愛をもらって生きていく。そんな希望が持てました。
6、7巻あたりからは非常に駆け足で…。怒涛の展開。
浅海との両思いはもう少し余韻と幸せな時間があってほしかった…(浅海が可哀想すぎる!!)という点や戦後の喪失から小夜子が再び歌えるようになるまでももっといろいろあったでしょー!と思い、掘り下げたエピソードを読みたかった泣。これも大人の事情なのでしょうか?
小夜子の人生をもっと見ていたかったと思って、星4ですが。一度は読んでほしい、素晴らしい作品です!