このレビューはネタバレを含みます▼
DV加害者や被害者の心理がよくわかる作品だった。
父からの性被害を受けている娘をなぜ助けなかったのか？と序盤は疑問を抱いていた。DVなどの経験がない私にとっては、実の娘を助けるのは当然なことだと思い込んでいた。
しかし第38話で、母親の「この程度の傷で」「私の時はもっと酷かった」「私は我慢した」「我慢しているのに」という発言と包帯を巻いている母親の学生時代の描写で納得した。母親も、主人公と同じ被害者だったのだろう。家族以外の周りに助けを求めても助けてもらえない、理解してもらえない、汚いと思われたくないと思い込んでしまい、結局誰にも助けてもらえなかったのかもしれない。ただ主人公が母親と違うのは、助けてくれる人の存在に気付けたことと、そういう人に長年の悩みを打ち明けられたことだと思う。主人公には幸せになってほしい。
また本作品は、私のようなDVやモラハラ、性被害とは無縁の世界で生きてきた人間が、心理的安全性を確保できる平和な世界から眺める分にはいいと思う。しかし実際にこのような過酷な環境で生きてきた人・生きている人にとっては、トラウマを思い出してしまうかもしれないので、お勧めしません。あとゴミ屋敷やエログロ描写が容赦なく出てくるので、そういうのも苦手な人は読まない方がいいです。他の方のコメントでもあるように、ものすごく読み手によって好き嫌いが別れる作品だと思います。
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