カタンタさん

サイドストーリーもたくさん作れそうなのに、2巻で完結しているのがありがたい。
主人公ヒロインの劣等感、財閥とした次世代を担っていく従兄弟たち、その団結力、大切な人たちを守ろうとする姿勢が面白おかしく描かれている。2巻でヒロインの正体がバレるシーンはハラハラにて読み応えがあった。ただし、正体がバレたあとの2人のシーンは怒りや八つ当たりではなく、もっとなぜ明かしてないはずの身分を最初から知っているのかという疑問や自分だけがなにも知らなかった羞恥心、それをもとに過去を振り返る主人公ヒーロー側の想いをもう少し丁寧に描いてもらいたかった。
婚約復活で最後に従兄弟たちがマンションに駆けつけたシーンで、次世代が全員揃うところももう少し読みたかった。正体がバレたことで従兄弟長兄が主人公を口説いていた過去がいたずらだったことも暴露されるし、いっきに祝福モードにもなったはず。
恋愛面では、引越先でのストレートな告白や、付き合ってもいないのにちょっと強引な面はいいとして、もう少し恋に落ちる瞬間にメリハリがあると嬉しい。温泉のシーンや、仲の良い会社の上司と部下の関係を壊したくなくて、なんとなく付き合い始めた感じにおさまっているのがもったいない。
最終的には結納や結婚へ親族の意欲などもあっただろうに、いろいろ描かれていないことで2巻におさまっているのだろうけど、ある意味描かれていないために読者の想像力が膨らむのも確かで、総合的にみてとてもラブコメとして良い作品。正体がバレるハラハラ感は抜群で、胸キュンや従兄弟たちとのやりとりによるコメディ感、大切な人を守ろうとする人間関係の描写、とても読みやすく、一気に読みました。

主人公の勘違いや潔さ、独り身を満喫してる姿がとても面白い。大事にしてもらえない婚約者なんてお断りと拒否するでもなく、完全に無視、どーでもいいという態度がいい。自分の幸せは自分が作り出す姿勢は見習いたい。
「好き」の反対は、まさに「無関心」だなぁと改めて気付かされた。
王女の協力を得て、婚約者が今後どう変わって行くのか、主人公の心中は変わって行くのか、とても気になる。できれば、主人公にはもっと幸せになれる人ど出会ってほしい。