このレビューはネタバレを含みます▼
よくある不遇な主人公が溺愛される系かと思いきや、ガチの超本格ファンタジーでした!良い意味で完全に裏切られてハマってしまい、漫画の続きを待ちきれずに原作読了。本当に面白かったです!おおよそ3つのパートに分かれた長いお話になるので漫画はまだまだ序盤。第一部では、貴族ながらつらい環境で育った、劣等感の塊のような主人公マクシーが政略結婚の相手リフタンを愛するようになり、彼のために強くなっていく様子が描かれています。様々な試練の後、リフタンと彼の騎士団を守るためにマクシーが一人旅立つシーンが実に印象的です。第二部は過去に戻ってリフタン視点で彼の悲惨な生い立ちと、マクシーとの出会いから結婚までが語られます。謎だった溺愛の理由が見えてくるとともに、多くの伏線が散りばめられて前後のパートに繋がっていきます。第三部は、魔道士になったマクシーとリフタンの再会。七王国の平和を揺るがす魔族との過酷な戦いの中、2人がようやく心から認め合い、愛し合うようになる姿が描かれます。お互いを深く想うが故の盛大なすれ違いの連続に加え、いくつかの鬱展開、次々と迫る壮絶な戦い…序盤からは想像もつかない波瀾万丈っぷりで読者としてはかなり振り回されますが、ちゃんとハッピーエンドです!マクシーも大活躍ですし、物語の至る所にグッとくるシーンが山盛りです。そして最後の華やかな大団円からの、リフタンが心に抱いてきたマクシーへの想いの原点が回収される美しいエピローグには息を呑みました!漫画の美麗な絵でどのように描かれるのか今から楽しみです! サブキャラもみんな魅力的です。マクシーを認め敬愛するようになる騎士たち、魔道士ルースの変わらぬ友情、マクシーを導くアグネス姫、複雑に歪んだ心を抱える妹ロゼッタ、個性豊かな塔の魔道士たち、冷徹な神聖騎士クアヘルとマクシーの間に育まれる奇妙な絆、リフタンを敵視する北方の騎士の陰謀…魔法や政治、歴史など設定がしっかりしており、ファンタジーの一大叙事詩としても楽しめます。鬱展開の後にきっちり溜飲下がるのがまた最高です。心を掴んで離さない構成に感服。興味がある方は原作もぜひ。原著と英訳は完結していますが、このたび日本語版がリリースされた模様です!なお、漫画では全カットされているHシーンが原作では大変濃厚であることを申し添えておきます…