おひとり様には慣れましたので。 婚約者放置中! 【連載版】
晴田巡/荒瀬ヤヒロ
このレビューはネタバレを含みます▼
まず第一に、絵がすばらしいです。
失恋や毒親など様々に虐げられ、それを男性に埋めてもらう必要のある、男性に付属しないと価値がないと思っている女性のキャラクターがあまりにも多いと感じていました。それはそれでいいのかもしれませんが今作のニコル嬢のように、早々に婚約者を切り捨てて楽しく暮らしている話が読めてうれしいです。この世界の社会では結婚してはじめて一人の人間として扱われるようですが、城下町の人々は貴族ほど気にしていないようにもかんじられますし、ニコル嬢が楽しむためのものは揃った世界なのだと感じます。(ニコル嬢が「下流貴族」と口にする場面は、下流貴族であれば婚約者は急がない、いない人も多い、だから一緒に食事をとることができた、という意味だと解釈しました。つまりニコル嬢の感じる煩わしさは、上流貴族ならではのものなのでしょう。)
聡明で自立したニコル嬢ほどの人が、やはり結婚しないと、と思わされている社会であることが残念ですが、そんな世界で一人人生を謳歌していることが面白いのだとも思います。
三巻まで読みました。強敵かと思われたキャロライン様含め、全てのキャラが嫌なおばかさんでないのが大変快適です。敵は社会そのものと言ってもいい。
もうケイオスとはロマンスする仲にならず、社会的地位のために結婚するビジネスパートナーとして交友を深める関係に収まればいいのに、と思っています。(そういうのをもしや白い結婚という?)そして令嬢だからできないと思われていたあれやこれやを、興味のままに体験していくお話になってくれたらなぁというのが勝手な願望です。
上記の事柄をストレスなくスムーズに読ませ、かつ美麗で繊細なタッチが安定して続く作画にも感服しています。
続きがとっても楽しみです。