このレビューはネタバレを含みます▼
ある時期に続いていた萩尾さんのバレエものの一つですが、おそらく一番重い話だと思います。主人公マリオは傲慢で他の同期を見下していて、こう書くといやな男ですが誰もが身に覚えのあるような心情に沿っていて寄り添いながら話を読み続けていけます。故郷に帰った時衝撃的な事実を告げられてからますます落ちていく様でどうなることかとハラハラしましたが、最後は雲が晴れていくようなカタルシスがあり、さすがとしかいいようがないです。それにしてもラエラというある種聖母のような彼女に見捨てられなかった事が非常に大きいのではないかとも考えさせられる表題作でした。