このレビューはネタバレを含みます▼
タイトルの印象とはストーリーやテーマが違います。
インキュバスのストーリーということでよくあるエロ漫画かなーと思ったら全然違って、インキュバスである自分自身の宿命に悩む彼と、そんな彼を愛してしまった人間の彼女のお話しです。
彼の苦しみを知り、それを救ってあげたいと思いながらも、普通の人間である限り彼の宿命を表面上でしか理解していなかった彼女。
そんな彼女が、自分の体に変化が起きた時、その宿命を一緒に背負うことになった時、やっと彼女は彼の苦しみを自分のこととして理解できます。
ただ自分が犠牲になり彼を助けようとしても、彼の心は救われないのです。
なぜなら彼はインキュバスであることで、自分が彼女にとって彼女を傷つける加害者であるという立場は変わらないし、その罪と苦しみは変わらないから。
彼女が自分の気持ち?意思のために、彼がその犠牲を背負うことになった時、やっと彼女は加害者としての彼の立場を理解でき、そしてインキュバスの宿命を一緒に背負うことができるのです。
絵もきれいで裸体も美しく、エッチシーンもドロドロに抱き合っていてもただのエロとは感じない。
映画を観ているように、ふたりの気持ちが、心が痛いほど伝わってきます。
そしておばあちゃんの人生や彼女の生き方も、どうしようもない宿命を背負いながら、粛々と生きてきたその生き様を、重くならずにさらっと描いています。
おばあちゃんの人生を掘り下げてもまたひとつの物語になると思いました。
とても素敵なストーリーで、課金して最後まで読んで良かったです。