このレビューはネタバレを含みます▼
最初にこの漫画やべえって思ったのは、過去の回想で絡まれてる主人公のシーン。
そうなんですよ、いつだって向こうは急に訳わかんないこと話しかけてきて、かわいい〜とか困ってるじゃんやめなよ〜とか、そう笑うんですよね。
反論しても、ほら怒ってるじゃ〜んって笑われて。
暴力や器物破損程ではないけれど。イジメ、って言えるか分からないけれど。着実に向けられる好奇の目は心を蝕んでいく。
登場人物たち全員がそれぞれ悩みを抱えてて。「よくある」家庭事情だったり悩みだったり。でも高校生の時って、八方塞がりでどうしようもできなくて悩んで。大人になれば、と美姫のバイト先の姐さんたちも言ってましたけど、この頃って本当に、些細なことかもしれないけど、本人にとってすごく大きくて辛くて。
この作品のすごい所は、ジャンル的には恋愛学園もの、青春ものなはずなのに、学校イベントそのものにはそこまで力を置いてないんです。
普通なら学園ものって、学校自体は毎日単調だから、学祭、体育祭とかを長引かせたり盛り上げたりするんですよね。
でもそうじゃない。日常パートの方が重きを置いてるんです。
でも飽きるどころか、どんどん読んでしまう。
日常パート、みんなが仲良くしてたり、すこし思うところがあったり。
言ってしまえばそれだけなのに、目が離せない。
リアリティのある描写。
楽しげなみんなの姿。
微妙な表情の変化を描くのがうまくて、言葉のチョイスもうまくて。
久々に素敵な作品を読みました。
小雪が幸せなら、それで十分。
いや、みんなが幸せなら、ですね。
どうか、最終回でお付き合いしていたカップル全てが、登場人物たち全てが、幸せになります様に。