妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~(分冊版)
橘ちなつ
このレビューはネタバレを含みます▼
無料部分以降どういった経過を辿るのだろうと思いました。最後まで読んでみてほしいというレビューを見て読みました。あっさり治るものではないだろうと読み始めたため、主人公も先生も看護師さんも常に試行錯誤、暗中模索で、山あり谷あり身体に振り回されて大変な経過は現実味があり、よかったです。
以降自分と重ねてですが、読んでて思いましたが、私はあまり″普通″という言葉が好きじゃないです。
友人が鬱気味でずっと大丈夫だよと付き合い続けてきた私としては、普通に固執してより悪い方向に陥っていくことが多かったからです。
主人公は自分自身の症状と向き合い続けて結果を導き出せて周りに感謝してたのでよかったです。
が、もしも「″普通″に戻れてよかった!!」みたいに終わったら、私としては凄く印象悪く感じてたと思います。
途中途中に「普通になりたい」といった言い回しされてる点について、漫画の初めの方に掲げてる″普通″は
見えてないものを普通って括りに閉じ込めて理想像を膨らませ続けている″主人公が思い描く普通″ですし、
最後の方に思い描く″普通″は、怖いものを減らして、家に戻ることと言ったようなだいぶん理想が削ぎ落とされた″普通″だった思います。
こういう曖昧さがあるので、私は″普通″っていう言葉があんまり好きじゃないです。変化もその人の内情も掴みにくい上に脅迫のように振りかざされがち…
また、私は逆に自身に母性なんて目覚めないだろうという方向に対する想像が達者になりすぎて、子を持つことに相当後ろ向きなので、主人公が自認してる通り、子育てに対する考えは甘すぎでは?と思いました。逆に言えば困難が起こっても主人公のように根気強く向き合うしかないんだろうなという見本をもらったとも思いますが。
そしてただの妬みに近い感想ですが、本当に家族に恵まれててよかったなと思いました。夫と両家両親よかったですねとしか……そして財力。本当に周りに感謝してあげてほしいです。主人公はこの先、自分はいかにダメかに陥る思考の癖も、あんなに支えてもらったんだから私頑張らなきゃいけないんだみたく理想を膨らませていく思考の癖も、きっとなおらないんだろうなと勝手に思ってますが、ただ末長く感謝してるだけでいいと思うので、ほんとうに周りに感謝し続けて欲しいなと思いました。