このレビューはネタバレを含みます▼
私は22歳 女性です。
この漫画を通して気づいたことを拙い文章ではありますが綴らせていただきます。
自分の命をかけ子供を産み、母親の愛というもので我が子を包み込み、大事に大事に育てていく。それが私の思う「母親」で、また世の中の人達の思う「母親」で。
それが母親のあるべき姿であり、そうあることが当たり前ならば、世の中のお母さん達はどうやってお母さんになるという結論まで導き出したのか、私はいつも不思議でした。
今の世の中では理想の母親像を「あるべき姿」というような風潮がまだまだ根強くあるように思います。
作中の成海先生が言っていたように、その理想の母親像が「当たり前」だとされる風潮が、母親になった多くの女性を悩ませ、追い詰め、時には自ら命を絶ってしまう状況を作り出すのだと、この本を通して強く感じました。
子供を産んだからといって、スイッチが切り替わるように理想の母親になれるわけではないし、胎動だって自分一人だった体の中にもう1つ命が宿り、それが予想外の動きをするのだから、気味悪く感じてしまうこともあるだろうし、産まれたばかりの子を全て愛おしいと思えないことだってあると思います。
けれどそれを吐露することは今の世の中ではなかなか厳しい。
また、女性ホルモンの作用がどれほど多岐にわたるのか、個人差があるのか、その事についてもなかなか知られていないように思いました。現に私も、PMSとPMDDに罹っているので女性ホルモンがメンタルや体調に影響することは知っていましたが、作者様が経験した産褥期精神病のように、人を狂わせ普通を奪い、死が救済だと思ってしまうほどの影響があることは知りませんでした。
私はこの本がより多くの人の手にわたり、産褥期精神病について、女性ホルモンの影響について世の中にもっともっと周知されて欲しいです。そして世間が抱く母親像になれなくてもいい、それが全てではないともっと世の中に「母親」に対する認識が変わって欲しい。
そして世のお母さん達がこれ以上苦しみ自分の命を絶つことがないよう心から願いますし、私も出来ることを探そうと思います。
最後になりますが、思い出すのも苦しいような経験をこのように本にしてくださって本当にありがとうございます。きっと作者様の本が、同じ悩みをもつお母さん達に救いの手を差し伸べてくれると思います。