TJKさんがつけた評価
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始まりから次に何が起こるか分かっていても、ワクワクが止められなくて困りました。パターン化されつつある?流れにニヤニヤしながら読んで、すぐにうっかり◯兵衛ならぬ神主が出てきた時には、予想してたとはいえ笑いが止まりませんでした。
今回の主人公は、前作の稲葉より若く学生なだけあってノリが良く、心の中のツッコミが面白かったです。そして最初の危機(神主)を脱したかと思えば、秋芳との会話でまた話が通じなくて不毛なやり取りを繰り返した時には、諦めの境地に立つ人の気持ちが分かった気がしました。
その後もやたら見解の相違?みたいなのが多くて…【座禅】という行為の意味が、一文字違いで大変な行き違いを起こすし、昔話が明後日の方向へ展開していくしで、真顔をキープするのが不可能なくらい笑ってしまいました。
あとがきで先生は「那須くんと九里くん」どちらを出すかで迷ったそうです。結果的に那須くんが選ばれたにせよ、次作は九里くんが出てくるだろうと思います。けど、ここで「キュウリくん」なんて本当にいるんだ?と思った私は、頼まれもしないのに調べました。そしたら【九里】という苗字は「くり」「くのり」「くざと」と読むそうです。そこを無理矢理「キュウリ」と読ませる先生の強引さ…好きだなと思いました。
最後に付け足しのようになってしまいましたが、笑いが多い中にも恋愛面の心境の掘り下げはしっかりあって、日本への帰還と永住の狭間で揺れる心理は読み応えがありました。成功する可能性がゼロじゃないけど限りなく低い。一度できても二度できるかは分からない。こういう葛藤って、私達の人生にも当てはまる気がしました。(閉じる)
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