ピカニキさんがつけた評価
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表題作は、大学の学生寮で一緒の先輩木戸さんと後輩馬尾くんのお話。かなり年上のマシュマロ女子とばかり付き合ってはフラれる馬尾くんは皆のネタにされていますが、決して嫌われてはいません。実はマシュマロおばさんも、汚くて大きなぬいぐるみを拾ってきてしまうのも、それが木戸さんの背中みたいだからで、何か身代わりがいないと木戸さん本人に向かってしまいそうな馬尾くんの心の防御壁なのでした。いつもさり気なく優しい木戸さんと、木戸さんに嫌われるのが怖くて想いを告げることができない馬尾くん、それぞれの想いの変化と軌跡が寮の賑やかな仲間達と共に描かれます。ひっそりと隠していた恋の熱がいつの間にか相手に伝わっていて、気が付けば高い熱を発していた…主題となるタイトルがじわじわと滲みてきます。『弥生町から西の空』陶芸家を目指す元教え子と元担任の遠距離恋愛譚。真っ直ぐで素直で泣き虫な若い恋人の成長が、とても頼もしくてちょっと寂しい先生なのでした。(閉じる)
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