halさんがつけた評価
セクピスシリーズでお馴染みの寿先生が2008年に発表された渾身の短編集。
寿先生は時代に合わせて絵柄...(続きを見る)
セクピスシリーズでお馴染みの寿先生が2008年に発表された渾身の短編集。
寿先生は時代に合わせて絵柄や作風を自在に操るカメレオン作者さまという印象が強いですが、この作品は全編通して安定した作画のもと重厚なストーリーを楽しむことができます。
キリスト教の旧約聖書を参考にされたのか、人喰い天使や創世記、キリストのクローンにパラレルワールドなど穏やかではない話題が盛りだくさん。番の概念も登場するので、もしかしたらこれ、オメガバースなど特殊設定BLの礎なのではないかな…?
全三作品+コンクリートガーデン続編26Pが収録されていて、「受けが格上またはいわくつきの攻めを追いかける」構図が主軸となっています。
また寿先生の描く攻めというのが揃いも揃いナイフのように尖っていてなかなか本音を見せない曲者で、打って変わり直情的で健気な受けちゃんの行く末が気になって気になって、どんなに内容が難しかろうと最後まで追ってしまえる巧さがあるんですよね。エチとかイチャイチャ(ほぼない)を求める気持ちも引っ込むくらい、存在が存在を求める深いつながりに心を全て持っていかれます。
うちにある本は紙が焼けるほど年季が入っていますがまったく年月を感じさせない、しかも類似の見られないユニークな作品なので、ちょっとでも気になる方にはおすすめしたいです。(閉じる)
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