romance2さんがつけた評価
安価版のほうで読んだが、あちらのほうが先行出版されているようで、6件レビューがあり、総合3.8だった...(続きを見る)
安価版のほうで読んだが、あちらのほうが先行出版されているようで、6件レビューがあり、総合3.8だった。一方こちらは相対的に新しめのレビューで8件、4.5。一見、大きな開き。
私は楽しく読めた。4.5といったところ。
飽きさせないので、読み始めたら817頁を二日に分けて読むのは苦痛だった。
犬好きにはとても辛い場面がある。終盤の回想の会話など、伯爵の心の痛みに既に100%同調してるから、たまらない。
そのワンちゃんシーンで、序盤ヒロインは我が身かわいさで目をつぶらずに、立ち向かう、ヒロイズム万歳要素があって、伯爵でなくともヒロインの姿に心打たれる。山賊シーン、ヒロインはここでも尊い姿を見せつけて、盗賊達を感服させる。勇気と、それを振るう源にあふれるヒロインの愛に、私も圧倒された。
伯爵のことを、勝手に先読みの誤解をして傷つけたこと、さらにそのために、命を危険にさらすことになったこと、ハーレクインが相手の言葉に傷つく構成は五万とあるが、相手を思い込みで追い込んだヒロインの方はお礼を言うだけで物語を閉じてしまうのか。そこは、裏切り者と位置付けて心で糾弾し続けて独りで悲嘆に暮れていたことと合わせ、しっかりと埋め合わせの場面が欲しかった。
あなたはそういう人間だと断罪して傷つけた行為は、新婚旅行前の二人ならあっておかしくはないが、長期の旅行で少し理解が進んだと思われる段階であったのは、された方は何億倍も傷つく。そこへのフォローの場面はあっても良かったと思う。ヒロインがほんの少し変わってる人とはいえ、そこは作り手の匙加減で。
お礼は結果に対しての行為だから、焦点が違う。
ベッドシーンの描写が具体的なところがあり、もう少し行間に滲ませるような表現でも良かったのでは、とは思う。
命を危険にさらして彼がしてくれたことは通り一遍のお礼で済むようなものではない。
妊娠中放っておかれて悲しく寂しい思いをした、それが彼のしてくれたことと引き換えになるほど大きいとは言えないだろう。交戦中の国を抜けて行かねばならなかったこと。生きて帰ってきてくれたこと。彼は、結果の判らぬうちに妻を下手に期待させたくなかったから、目的を言えなかったろう。しかしそこまでやるのは妻のためであり、それが二人のため、直接彼の身に近いことでは決してなかった。にもかかわらず、手を尽くしたのだ。
こんな夫、居やしない。ヒーローなのだ。(閉じる)
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