聖マグノリア王国の国境にある街、グリシーヌの入国管理を監督するため、アルファの騎士クロヴィスは王都から派遣されている。
そんな彼は母親が現国王の叔母であり、マグノリア王国の王位継承権を持つ身として厳しく育てられた。
幼い頃から品行方正であれと遊びのひとつも知らず大人になり、常に仏頂面のクロヴィスは陰で堅物と呼ばれている。
真面目で堅物。愛想笑いすらしない鉄仮面――そんなクロヴィスの人生は整えられたまま過ぎていくのだと思っていた。
ヒート事故により嵐のようなオメガの番、リュカを得てしまうまでは……。
リュカは美しいオメガの男娼でクロヴィスとは身分差があった。
そんな二人の婚姻は一筋縄ではいかず、生家からは勘当され、王位継承権は放棄させられた。
他にも条件をつけられ、ようやくリュカと婚姻することができたというのに――結婚してから一年後、突然離婚届だけを置いてリュカは去ってしまう。
クロヴィスの気持ちなど知りもしないで……。
真面目で堅物なアルファの騎士×性格が男前な男娼オメガのすれ違いからの幸せな番の物語――完結。
――愛してる。ずっとそばにいる。だから、クロヴィスもずっとそばにいて。