そこまで期待していたわけではなかった。ファンの皆様には申し訳ないが、子どもっぽい、と感じていた。
毎日無料連載で読み始めて、はや10巻を越えるところに来ているが、8、9巻辺りから、その世界として閉じた中でのメルヘンとしては統一感のある、マ
イウェイで展開する独自の空気を尊重すれば、その主人公の子どもっぽさもひとつの要素として受け入れられるようになった。4、5巻くらいでもここまでは感じなかった。
今11巻を読み終えた段階(全15巻)。その段々尻上がりに佳境に向かうストーリーを追いながら、かなり印象的なセリフに出会ったので感想を残しておく。
「何を成すも成さぬも/どこへ行(ゆ)くも行(ゆ)かぬも/[中略]/結局はその道を自分で選んだことになる/たとえそれで望まぬ結果になろうとも/それが間違いだったと誰が決められる?/[中略]/そこには正しいも間違いもない/ただ結果があるだけ/そしてまた次に行く道を選択する」云々続く。これだけを拾うと説教臭いが、此処迄の流れを経てストーリーになめらかに溶け込んでいる。そして、「どんな姿をしていても/こんなにあったかい」と。
正直期待しないでいた分、意外にも強力に世界観に誘ってくれたのは、ちょびちょびと読み進めた工程が効果を上げたから、かもしれない。言葉に真っ直ぐ頷ける自分がいた。
だが、1話ずつでなく1巻ずつ読んでも味わえた気もする。
ビジュアルやストーリーから受けた最初の先入観を、巻を進めるにつれて私は拭い払い始めて、もうとっくにそれは消え去った。謝りたいくらい。
長編漫画の中には、ダレが見えたり、広がりまくる思わせぶりに打ってくる伏線等が捌ききれず、まとめきれないものがなくはないが、本作品は全15巻中のここへ来て俄に、クライマックスの兆しに期待はこれまでのうち最も盛り上がっている。結構珍しいパターン。
「獣」の雰囲気、「魔族」設定、「敵対」から始まるものを丹念に展開していて、今は結末が大きい楽しみになっている。
読了した。
生きてきてよかった、生まれてきてよかった、というお話で、読後感は、読む前の自分の先入観を覆すように、爽やかな希望と、押し付けてこないのにメッセージ性も感じさせたりして、結末のしまり方はちょうどいい。幼馴染みや、「魔女」と彼、もう少し消息がわかると良かったが、もしかしたら紙幅の制約で仕方なかったのだろう。
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