とても好きな作品です。世界観の緻密さはもちろん、 キャラクター それぞれが過去に背負ってきたものが彼らの会話や仕草から十分に伺え、そういった丁寧で妥協のない表現には驚きます。
操縦船や防ウイルス施設の内装は抜かりなく描写され、読者もまた彼らの一員となってその場にいるかのように錯覚させてくれます。
キャラクターの感情表現がはじめは淡白にも思えましたが、人と出会い、世界のシステムに直面し、戦いを経ることで彼らが世界の状況をどう感じているのか次第に理解できました。それと同時に、彼らが生まれた世界を完全に飲み込んで消化できる時間も精神的余裕もないまま、今も少しずつピースを集め続けているということに、この作品の面白さと不条理が詰まっているのだと分かりました。
ウイルスと反勢力組織と機械化と記憶。様々な視点から物語を何度でも眺めることができる 重層的な作品です。