作家魂を賭けて世に出た作品ではないでしょうか。
読後様々な感情で溢れていますが、身も心も、存在自体をぶっ込んで生まれ、読者にまで届いた作品なのだと猛烈に感じています。
2周しましたが、上下たった2巻の中に収められたドえらい大きなモノを受
け止め切れずにいます。
実は購入後積みっぱなしで自分なりの読み時を待っていました。
私にとって梶本先生と言えば「高3限定」なのでビビりまくりです。
処理し切れない感情で溢れ返る恐怖というヤツです。
まんまと今作でも似たような状況に陥っていますが、少しベクトルが違いました。
………
端的に言えば「異常者」たちの生き様。
そして「普通者」との乖離と普通である為の汚さ。
モチーフとなった稲葉事件よりも裏金事件の方が記憶に残っていますが、警察の不祥事暴露の発端でありドラマチックな事件でした。
それをBLという「寛大な」ジャンルでお描きになった先生、本当にGJです!
男同士の恋であれば多少?の衝撃を包み込む懐の深さは他には無いでしょう。
と言うかこのお話は男同士の必然を強く感じます。
異常者がただ生きることの許しを乞い、もう1人の異常者が許しなど必要無いと受け入れる。
共に満身創痍になりながら自分を認めるお話はこうでなくては!と思うのです。
…………
ストーリーは比類のない素晴らしさです。
しかしマンガとしてのとんでもない表現力にも感動しっぱなしです!
線の強弱!傾き方!その場面でこの表情の意味は?ここで出てくる小物の使い方よ!単純と複雑の使い分け!等々、隅から隅まで線一本、書き文字ひとつも見逃してはいけません(男性器の誇張とかは浮世絵にも通ずる素晴らしさ!)
本当に絵が上手い!!!!!!
さらに考え抜かれた構成力たるや!!
話数が進むたびページを捲るたび、新たな驚きが超高速でぶつかってきます!
それでいてどの章で終わっても良いくらいの完成度の高さです!
本当に是非とも読んで頂きたい類い稀な作品です!!
…………
最後に、描きにくいモチーフで描いて下さった先生にありったけの尊敬を!
そしてこの題材で電子書籍化して下さった新潮社に拍手を!
さらに受け入れる体制が整った電脳世界に賞賛を!
販売して下さったシーモアに大きな感謝を送ります。
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