騙し騙され、もう誰が味方なのか敵なのか、もはや全員敵とさえ思う。ヤクザと、ヤクザよりも怖い警察のドロドロの世界。映画『日本で一番悪い奴ら』がそんな胸糞悪映画なのですが(個人的には好き)、まさにあの世界観です。巻末に稲葉事件を参考にされているとあり納得しました。最悪の結末も想定していましたが、終わり方に安堵しました(でもその生活にも終わりが来るんだろうな…なんて思ってしまいますが)。バッドエンド耐性のない方でも読めると思います。
読者をのめり込ませるストーリー展開、テンポが凄まじかったです。ずっと緊張感があって、上下巻を一気に読んでしまいました。
登場人物の誰一人として共感できない。自分だったら辛くて生きていけない。でもこんな世界で生きてきた人達、こんな世界でしか生きられない人達が実際にいるだろうなと思い、鬱々としながら読みました。
BL(男同士)だからこその作品だ、とレビューにありましたが、めちゃくちゃ共感しました。男と女ではこうはならない。男同士だからこその熱さ、切なさ、胸糞悪さがありました。
映画一本見終えたような徒労感です。BL漫画でこんなにも読み応えがあり、疲れる(褒めてる)、そしてゲンナリする(褒めてる)作品は初めてでした。