「遠くの日には青く」の時からのファンの者です。
その数々の作品を紡ぎ出してきたストーリーテリングの天才のお二人が、流れるような筆致で描いたのが、この「女装男子」です。
実はTwitterもフォローさせてもらっているのですが、この作品のタ
イトルがtweetされた時に嫌な予感がしました。
それはトランスヴェスタイトというトランスジェンダーの方々の繊細で微妙な問題が、面白おかしくコメディーで描かれていたらどうしよう?
という不安な気持ちからでした。
私はちょうどその頃、志村貴子さんの「放浪息子」にハマっていて、その全米図書協会の推薦図書になった内容に衝撃を受けていました。
トランスヴェスタイトの人たちが置かれた境遇とはあまりにも過酷で、ありのままの自分では学校にも行けない、社会人として企業の採用もない、というもの。。
そんな日本という社会は嫌だな〜、と思っていました。
トランスヴェスタイトの人たちが何の問題もなく学校に行けたり、企業に採用されたりする社会は、何だか私たちにとっても暮らしやすい社会のように思えたし、
そんな社会になってくれたら誇らしい、と思っていました。
なので、どうしても安易なコメディーにだけはしてほしくなかった。
今日、思い切ってこの作品を読んでみました。
主人公の有明タクミと梶浦ミツキの出会いから、知り合っていくまでの流れが、決してコメディーになっていなかったので安心しました。
それどころかタクミの切ない気持ちが伝わってきました。
ミツキがタクミに向ける視線も、人間としての愛情が感じられ、決して面白半分のようではないと感じました。
どうかこれからの展開も、LGBTの人たちを傷つけることのない、人間としての愛情に満ちた素晴らしい内容になることを、心から願っております。
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