おすすめです!BLファンの方にはぜひ読んでほしいです。戦後、まだ日本が戦争の傷跡から立ち直れない頃を扱ったBLです。戦後BL、初めて読みました。こういう時代背景のマンガはとても描くのが難しいと思います。ですがこのマンガは大成功です。主人公は
とても辛い過去を背負ったキャラクターですが、その主人公を優しく包む、進駐軍のジムさんの愛が、話を盛り上げています。とても読みやすかったです。たぶん、こういった話は作家さんにかなりの技量がないと描けないと思います。とっても満足しました!歴史的事実もよく調べられています。fictionに歴史的事実が混ざって、話に信憑性があり、主人公と攻めのジムさんの愛が、リアリスティックに感じられました。一つ難を言えば、もっと長いお話にしてほしかった。残念!たぶん、単行本一冊では収まりきれないお話だと思います。当時、日本語が堪能なアメリカ人は、それなりの数をいらっしゃいました。アメリカ軍は日本と戦うにあたって、日本語学校を早急に作り、そこに賢い生徒を集めました。ドナルド・キーンやエドワード・ザイデンシュテッカーなどが卒業生ですね。そう言った人たちは捕虜尋問の通訳などのお仕事をしたようです。また、戦前はポール・ラッシュや、エドウィン・ライシャワーなど日本通がいました。また、waspと言われる、エリートの中にはジャパオロジストと言われる人たちもいました。日本美術・文化に詳しい人たちですね。ジムさんは、高学歴の事とかも含めて、waspのように描かれていて、リアルに感じました。進駐軍の宿舎はTule Lakeの日系人捕虜収容所に行った時に見た、管理者の宿舎とそっくりで、よく調べているなあ、と思いました。さて、ジムさんの方ですが、同性愛は当時アメリカでは違法でした。たぶん宗教の事もあって、coming outできなかったジムさんが、日本で自分の性に向き合ったこともrialisticに感じました。アメリカに帰っても、たぶん、それなりの財産と社会的地位があればなんとか凌げたのではないかと思います。「ギリシャ神話」の著者、トマス・ブルフィンチとそのアシスタントさんのように。ちょっと古すぎたかな?また、戦後は問題山積みで、バイリンガルが重宝されたので、多分エリートのジムさんの事、アメリカ政府の仕事でもゲットして、日本に彼氏と戻ってきたかもしれませんね。
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