これは果たして少女マンガという括りで語っていいものなのだろうか。好きな人に父親を殺されるという衝撃の展開から始まった物語が、一人の少女の成長や仲間との信頼関係だけでなく、国を動かす壮大なストーリーになるとは思いもしませんでした。
とにかく
、ヨナの世界は全てが現実世界以上にリアルです。登場する人たちの背景や性格、部族や国の地域性や特徴、果てはギャグの精度一つ一つが、本当に丁寧に緻密に完璧に細部まで描かれていて、草凪先生は一体どこまで考えて描いているんだろうと漫画の世界を飛び出したその先の先生の頭の中まで覗いてみたくなるくらい、全てが完璧な作品です。物語が長く続けば続く程、ただ世界が広がっていくだけでなく、深く色付き深く影を落としていく。そこにいる人全ての行動や考え方に矛盾がなく、ヨナの世界の人たちはみんな本当に“生きている”と感じます。
その中でも特にゼノの話は本当に素晴らしいです。何度読んでもゼノの生き方やゼノの長い人生に涙が止まらないし、その度にゼノの優しさややるせなさが伝わってきて心が痛くなります。ツラい思いをしても尚、人と関わることをやめなかったゼノの強さは私の生きる道標です。
そして、ヨナの世界を語る上で欠かせないのが幼なじみ3人のこと。親友であり、ライバルであり、仲間であり、理解者であり、お互いが自分より大切な存在。そんな3人がそれぞれの思いを抱えそれぞれの道を必死に歩こうとするものの、お互いが大事すぎて、意図せずも交差し、干渉し、引力が働くかのように引き寄せあってしまう様は本当に悩ましく、本人たち同様に読んでいるこちらもズタボロに傷付いてしまうくらいです。何度も、「なぜ…」と自問し、「どうして…」と苦しめられる、そのくらいこの3人の関係は複雑に絡み合い拗れてしまっているのがつらく悲しいです。この3人がどういう未来を紡ぐのか、最後は幸せになってくれることを願ってやまないです。
最後に、ヨナ&ハクのコンビは本当に最高です。2人のたまにしかない恋愛シーンはこれ以上ないくらいキュンキュンするし、ハクのあの色気は本当に言葉では言い表せない程カッコいいです。ヨナ最大の見せ場であるブチ切れ告白は私史上最高の告白でした。あんな告白見たことないのに、ハクにはあれが一番似合っていて、あんな展開を描ける草凪先生は天才です。今後もずっと読み続けたい作品です。
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