何故かひかれあってしまう。孤島で世間に背を向けて暮らしていた伯爵に光を感じさせたヒロイン。彼女は考古学者として島にやって来て恋に落ちた。まるでそこに来ることは運命付けられてたかのようだ。
少女の頃に直感した想いは正しかった。再び巡り会
うことが出来たのだから。
ストーリーがとてもロマンチックな骨格でありながら、伯爵の傷跡や物語はじめの頃の彼の性格の面倒臭さと偏屈ぶり、書物保管場所の不気味さ、といった要素で、考古学を研究してるヒロインでなければ耐えられない舞台。
冒頭の、子供の頃のヒロインの初恋の思い出、ピアノを弾くアポロンの周囲にはたくさんの光の滴があったと見ていた、彼女のとても印象的な出来事の描写があるから読み進めることが出来る。
伯爵として一番はじめに登場する場面の絵が私的には最も素敵に見えるのはどういうことだろう。話の進行からいって、素敵に見えるシーンは、後半に進むにつれ輝きを増すくらいが良いと思う。
でも、それほどの大きな感動、しかも、初恋の自覚あった彼のことを、かつては名ピアニストと聞いた伯爵を目の前にしても、想定年齢から少しも思い起こすことがないほどに、忘れることはあるのだろうか?風貌があまりにも変わったのなら、その後が続かない。傷跡は別として。
たとえ、年数が20年経とうと彼の残像が薄くなろうと、初恋の人をピアノを聴くまで思い出せないとは、物語性はそこで過去の記憶と結び付いてドラマチックになるが、普通そこまでは、と思う。
島での滞在期間中の恋人関係の甘さがもっと欲しかった。ピアノという、不可欠の小道具の描かれ方も、音楽のインパクトか、弾いている姿の存在感かいずれを表すにせよ、ここのドラマをもっと味わいたかった。
プロポーズの後のストーリー、良かったが、ちょっと脇・モブキャラの扱われ方が軽々しくて、特に、結婚披露のときの、「すてき」と言っているシーン、せっかくその後のあれこれを描写してるのに勿体ない気がした。
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