読み放題。
田舎の中学校に寡黙で美人なヨリ子が転校してくる。
このヨリ子が、あらゆる面で野性味に溢れた人物で、周囲はもちろん読み手をも振り回してくれます。
最初はヨリ子を始め生生し過ぎる表現に嫌悪すら感じましたが、読み進めてみると
その嫌悪が一体自分のどこから派生するのか問い質したくなりました。ヨリ子が周囲を掻き乱しているかの様に見えていたけれど、それは彼女が意図しているのでは無く、周りが勝手に騒ぎ立てているだけの様な気がして来ます。
こうしたらおかしいでしょ?が通じないヨリ子。
ヨリ子はただ、彼女のやり方で人間社会の中で生き抜こうとしているだけ。ヨリ子のこの生き方がどこから来るのか…それが3巻まで読むと見えてきます。
ここまで読むと一気に全貌が見えてきて、自分も結局自分のフィルターを通してしかヨリ子を見ていなかった事に気付き、全てがガラガラと崩れ落ちていく心持ちでした。
後半はヨリ子に神々しささえ感じました。
ヨリ子と出会う事で、周囲の人間の内面が露呈して崩れ再生して行く様は読んでいてどこか共感でき揺さぶられます。そしてそれ以上に、彼らとの関わりで生まれるヨリ子の変化に驚かされ感動しました。
作者さんが本作を「人間否定から肯定への心境変化をつづった物語」と仰っています。正にその通り。
人間の本性をここまで率直にぶつけられ心がすり減りそうでしたが、読後は不思議と軽い気持ちです。…と言っても、最初は衝撃過ぎて話を読むのに必死過ぎて、読み返しての感想ですが…。読み返すと、こんなにも温かい話だったのかと驚き、違う作品かと思う位印象が変わりました。
過激な描写が多いのでオススメはし辛いですが、こんな漫画は読んだことない…。描ききった作者さんに感服です。
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