『媚の椅子』に続く続編『媚の凶刃1、2巻』『SMOKE 3巻』『X side 』媚シリーズです。すごく良かったです!本格的極道系は、非情で残酷なイメージを持っていて、なかなか手が伸びにくいジャンルですが、読んで良かったです。読んで後悔するの
と、読まずに良作逃す不幸なら、読んだ方がいいなと思って腹をくくりました。池作品は読んでみたい衝動に駈られます。
『媚の椅子』で、梅崎組の若頭・加賦と韮沢の命懸けの愛をまざまざと見せつけられた一冊で、レビューは別になります。二人の運命がやがて翻弄されていく続編の序章で、ヤクザの抗争にとどまらず、跡目問題の激化、海外組織の陰謀へと大きく展開していきます。
その続編の中で、韮沢の命を捨てても良いと思うほどの、加賦への究極の愛が胸をえぐります。何があっても守り抜く固い決意は、並々ならぬもの。韮沢にとって加賦しか見えない。加賦しかいらないんです。そこまで思える相手に出会えた事は、幸せな事ですね。
加賦にしても若頭として立場を考えながら、組を統括する一方で、韮沢が愛おしくてたまらない葛藤も切実でした。自分の部屋住みとして、自分の盾であるように育てた韮沢を、命の危険にさらしたくない加賦の想いもひしひしと伝わってきて、胸をざわつかせます。
そんな中での極道たちの争いも激化して、海外組織のシャオチェンの執拗な狙い。梅崎組を目の敵にする真の目的。見えて来る真実にハラハラ、ドキドキの連続でした。面白いと言っていいのかわからないけど、盛り上がりは最高潮です。
極道の世界にも女性もいるワケで、いわゆる極妻とか姐さんと呼ばれる立場の女性にも、その世界で生きる覚悟や姐さんの意地を垣間見た気がします。そしてヤクザであったとしても、加賦の親への愛情も感慨深いものがありました。
加賦と韮沢の揺るぎない愛は深さを増すばかりで、何があろうとも死が二人を別つまで、決して離れる事はないのでしょう。
愛の深い素敵な物語でした。池先生、素晴らしい作品をありがとうございました。
『X side 』は、媚シリーズの番外編集と他短編集です。『ノットイコール』の単行本未収録作品も入っていて楽しめました。
個人的に韮沢の昔の仲間、コウキがめっちゃ良かったです。
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