「問題解決能力」の高いヒロインが次から次へと社内を変えていく。
出会ったときから引っ掛かる二人。何かと因縁があり、衝突のような繰返しを経て、彼女の手法への理解、彼のキャラや状況への理解と、二人が徐々にわかり合えていく。
彼の方は時間さえ
も計る人間。見ただけでサイズが分かるのが特技。起業も彼の得意技からの出発だった。
ストーリー展開が軽快で、頁をめくるのが楽しい。
それでいて、親のこと、古参の社員のことなど、適度に匂わせつつ段々表面化、巧みに芯の固いところに読者を連れていく。
建築好きの登場人物に人生と会社作りをスクラップ&ビルドさせて、ヒロインは会社組織をリフォーム、社内リノベーシヨンして、まさに二人の出逢いは、嵐を呼んだようだった。
ムードのあるシーンは多くない。喧嘩しながら仲良くなり、互いに意識しあうも、感情推移メインでない作り。
セミナーのとき、もう少しロマンチックであったなら、とは思うが、こういう二人なんだろう、という感じは最初からしてた。それでもどんどん親しくなっていく。
カリフォルニアがセミナーの舞台、写実に過ぎる風景の絵が並んでいた。チャイナタウン以外にカリフォルニア感は意外にも前面に出てこなかった。しかし、自然の観光名所では、初めて見る景色が私には特に良かった。表現力高い絵で樹齢何百年の樹木が、孤高の姿といわくありげな足元とで示され、そのローンサイプレスという糸杉といい、前半のクリスマスツリーといい、大きい樹の凄みを感じさせた。また、その糸杉に想いを馳せる彼のシーン、このストーリーの彼のやりたいことと巧みに絡むので、これにインパクトがあるということは、建築物と並んで重要。描ける先生だからいい!
山場ではないが、クリスマスツリーは二度大きく出しても、くどくなくてお見事。
横開き向きの作品だ。(元々私は、制作者の発表スタイル、また、読み手の目が右から左(+上から下)を計算してる製作意図に鑑みて横派だが。)
世界の最富裕層約2000人が、下位46億人の全資産よりも多く持っているとの報道があったが、HQも「大富豪」や「王様」「シーク様」を少し抑えて、こうした人物を素材にして、生き生きとした希望を見せて欲しいと思う。第二の起業で、再出発なんて、カッコ良すぎる!!僕の人生は君だ、もいい!
「許し」もテーマ。この難しく深遠なテーマを綺麗に捌いている。
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