間違いを犯した者へ再出発の機会を与えるというのは、その人のためよりは 被害者側のためであると言っている。(情けは人の為ならず)ヒロインキャリーは、そのことを父親から学んでいた。それは、言葉だけではなくて 父娘共々涙に暮れて悲しみを共有し、そのうえでの言葉であったことが 子供であったキャリーにも説得力を持たせて「許し」を獲得していた。しかし、ヒーローキャッシュは、親の不条理を溜め込んでいた。彼に「許しは必要」と納得させるための展開として、彼の閉じ込めていた怒りの咆哮を 古参社員であるサムに向けさせる場面には、胸を掻きむしるほどの辛さが私を襲った。親を反面教師として何もかもを「秩序」という型にはめている彼の行動が 孤独の寂しさを紛らわしているかのようで切なく映る。そんな中に飛び込んできたキャリーという光明が、秩序のバランスを壊し彼を変えていく様は、開眼と恋と笑いを含んで素晴らしかった。けれど、コストがかかるという(古い家を修復する仕事)会社設立で、現住の老貴婦人は維持できるのか少し不安だけれど、キャリーが何とかしてくれそう と思うのは、リムジンを調達してきた彼女の手腕を見たからかな(笑)