ロングドレスとタキシードがメインのパーティーが描けるので、小林先生のHQは産業界の権力者が居る雰囲気に嘘臭さがない。
屋敷も女優も、登場して似合う作風。
そこへ、犯罪が絡む。なかなか興味をそそる筋運びで期待は高まる。
しかし主眼はドンぱちではないため、捕り物に紙幅割けない、
そこは分かるが、カールの気づきシーンに、もう少しドラマ性を帯びた転回部的な切り替えも、欲しかった気がする。
また、ヒロインが真相究明に向かっているときの、もうひとつの突っ込みに対する新たな緊張感も、もう少しハラハラを煽ってくれてもいいのに、と思った。待機してる味方サイドの雰囲気だとか、ヒロインの機転と行動力が繰り出されているときの、彼女の内面とか、悪人がそれをどう受け取ったか分からない反応とか?
イヤなオヤジという悪役だが、脅迫の目的はヒロインのアクセサリー扱いと、うるさい企画の潰し役だけだったとは!
ヒロインに清純なイメージを残して、カールでなくてもビックリ設定だが、他にも味方の心強さとか、ヒロインの内情を見抜こうとする彼カールの賢察とか、ヒロインに都合のいい展開で地獄から脱出。
手際よく 気持ちよく一冊出来上がり、という感じなので読みやすいが、短い頁数で海辺のシーン、これこそは二人のロマンス描写の唯一の盛り上がり箇所、ロマンチック成分全開で味わいたかった。
器用な人でないと務まらない多くの内容の詰まった本作品、さすがHQ漫画家としてレベルを保つ貢献者小林先生、この頁数に収まりながら、つまらなさなど感じさせない。