湊先生の若すぎる位にかわかっこいいローヌ大公に見とれたが、読んでいるとまだまだ元首たる風格も備わっている段階になく。
少年王の趣で、体格までもが二十代以下のよう。腰回りなど柳腰か、という感じ。
絵は整っていて、メインキャラ二人ともチャーミングでりキラキラ明るい。島で出会うリゾート地の恋、けれど決して彼は踏み込まない。その接近時のちょっとしたときめきを一緒に味わえていいのだけれど、どうしても、これが国家元首?、という戸惑いはある。
アリーの水着姿やドレス姿は優美な描線で安定と洗練の筆致。
カラメールのシリーズの麻生先生と狩野先生のキャラ登場はひとコマながら楽しい。よく、絵柄が異なるのに顔見せが入って違和感を覚えることがあるが、これは、そこがないのが遊びとして楽しい。
少女マンガ「ヒロイン失格」「ひるなかの流星」のコラボ企画とまではいかないが、昔の漫画にはこうした顔見せ登場がたまにあった。本作品は理にかなって面白がれる。
ストーリーがそこまで新奇性ない分、ローヌの心が固まる経緯にビジュアルでもっと出して、説得力を持たせてくれても良かったように思う。
王位云々というのは一見素敵な究極の選択の結果としてそのこと自体に酔えるが、揺れに揺れたローヌ大公の決意にしては衝動的に感じた。ノリーはたった一人の後継者と言っていたのに!弟が居るのでは?とは思ったが。
また、前妻の件、事件の位置付けがストーリー中にしっかり入り込んだ感じがしなかった。