ジュリーとライアンの掛け合いはとってもキュートで面白い。頭の回転の良い二人だけに会話が的を射ていて、思わず声に出して読んでしまったくらい。作中でも語られていたが、こんな出会いでなかったらすぐにでもゴールインできたでしょうね。それでも実際はドラマティックに展開していく。「嘘」をキーワードにして二人の身上におこった悲劇を基にしてお互いを信頼していく様には、時にはコミカルに時にはロマンティックに進んでグイグイとその世界に引き込まれました。ジュリーを囲む姉妹とも仲が良くそれぞれが味方になったり、辛らつに意見を言ったり羨ましいかぎりです。なにより、ジュリーが結婚について一番の教師となるはずの母の言葉が現実的。一緒に暮らしていない父をなぜ許し、別れようとしないのかジュリーには理解できなくても、母の口からは、「そのうちにわかる」「他の男性を愛そうと努力するよりも、彼がいなくて寂しいと思いながら過ごすほうを選んだ」と聞く。そう、財産がある母の実家の事を考えれば再婚なんてすぐにできるだろう。それで生活は心配なくなっても、母の義理の父が母を無理解だったように、自分の娘達に同じような思いをさせたくはないと考えたに違いない。財産を狙ってくる男ならなおさらだ。そんな事情を重複させていることもジュリーがライアンやトッドを理解する材料になり得ている。なかなかだ。ライアンの一途さにもトキメクしジュリーのキャリアウーマン姿にも憧れるし、ホント夢見る物語でした。