挙式前日も愛していて当日に現れない、これはおかしい、相手の身に何かあったのに違いないと、そんな風に思いたいものだとは思うが、嫌になって姿をくらます=別離を意味したとの解釈。簡単に諦められないでしょう!?そう伝えられた背景もあるとはいえ、、、。
愛を確認しながらその相手からボコられたのか、自分は邪魔者としてつまみ出されたのか、そんな怒り心頭の独り合点よりも、そこはむしろ、自分を負傷させた連中は何者なのか、裏に依頼人でもいるのか、そっちを考えないのだろうか。ましてや、そういう職業ならばー。
二人のボタンの掛け違いは、事件の根源よりも、その心理的効果に当人たちの思いが行ってしまって、長年の闇が読者の側にだけ残されたまま、ドラマは、再燃の恋愛要素と息子との交流だけ進行。
篠崎先生の絵柄がミステリーとほのぼのとを共存させるため、過去の一件という小骨を喉につっからせたまま、なぜ今になって彼が彼女の前に現れたのかを含みを持たせたまま、二人の関係は年月の空白を乗り越えて進んでいく。その訳あり帰郷なかりせば、なところが既にドラマなんだなぁと感じる。
あの日から9年、二人はやはりなるべくしてなった二人だと、ラブ要素が強いストーリー構成で説得力あり。
悪い事をする人間は、どんな事も出来るものだと感じるけれど、ある意味、その悪事自体が解決への道に辿らせる、そんなお話作りがヒロインの自然な感情の動きに導かれるようにエンドまで一本の解決となって良かった。
人物以外の描写も味があり、1幕1幕の繋がりが良かった。
ただ、二つのコマ、44頁「?」と、53頁「ム」は何だろうと思ってしまう。「ム」は、百歩譲って、すれ違った車の男が誰かということに気づいての、リードなりのリアクションだったのだと、考えられなくはない。しかし、「?」のほうは何かが足りない気がする。