失恋の辛さを埋めて余りあるダニエルの存在。もう、こんな出会いがあるのなら、傷ついた過去は、忘れてしまえる。
事実、ヒロインは自分を捨てた男を丸二日間思い出すことなく、ダニエルと過ごしたのだから。
傷つくのは怖い。ヒロインほどの衝撃の事件がなくても。
それをヒロインは二度も体験したために、前へ進めなくなった。愛してるなんて言ったそばから幸せが逃げたら嫌だから。
でも、八ヵ月もの間ほったらかしたまま結婚話なんて、お話だから成り立つシチュエーション。
でも、だからこそのラストシーン。
ヒロインの不安も心情もみんな読み手として私も感じ取れた。
彼の周りも、ヒロインの周りも、二人に暖かい。
そして、無駄にかっこいい。
両親の娘を想う姿、結婚式を迎える喜びがじんわり伝わる。父親の言葉には、状況を思うと胸が痛くてたまらなかった。
結果的に、この俄か親孝行が、最後まで嘘にならずにハッピーをキープして、本当に良かった。