子供はまた作れる、かけがえのない君が生きていてくれる方が大事なんだ、愛しているんだ。
この究極の言葉は、よくある話ですが、やはり、ドラマを感じる愛の台詞であることを、このストーリーによって再認識しました。本当は出産は命がけ、安否確認が子にだけとの哀しい歴史もありました。
日本では同僚女性も手厳しいので男性ばかりに責任を押し付けられません。またそういう男性に育ててしまった女性たちも大勢います。長年、男性の言い分ばかり通る社会であったのはどこでもそうで、それを助長したのは誰なのか、胸に手を当ててみる必要ありです。このお話は、女子たちの結束、男性たちの支援がなんといっても大きい。託児所の話を、人任せにせず行動もして、子育て環境を皆で守る麗しい人間関係を感じます。
また、企業トップの捨て身の提案も、結構感動ものです。反面日本では女性に対して酷かった人の方が幹部になっていく。シリーズ中の他の女性も一人でも育てる気概が逞しくて美しい。トップもすごいけれど、この会計事務所全体が、妊婦フレンドリーな、良い職場。働きやすそうで一人一人の能力を活用する空気が良いと思います。女性同士のやり取りにもその親しげで助け合う様ないい関係が描写されて素敵です。
この話は、精子バンクでの精子提供者が、よもや好きだけど手が届かないと諦めていたその人当人のものとは思いもよらず、手違いによってその人の赤ちゃんを妊娠できたのですから、そんな偶然素直に喜びましょうよ。
結婚はもういい、と思い知らされてしまって、両人共もはや夢持ってないため、こじれはすぐに回復しません。
結婚という形態、この社会制度に乗るかどうかは、結局は、同居を始めるかどうか。一緒に暮らし始めないと見えないものは確かにありますから、心が揺れるのは分かります。
痛い目に遭えば学ぶのが人間ですが、瀬戸際の状況になって初めて、失いそうになって見えてくる本心が、過去の傷を乗り越えます。失敗の繰り返しなんて絶対嫌だとして踏み留まろうとしても、独りの生活に耐えられない本心が飛び出す勢いとなりました。
彼が、よき夫で、よき父で、いい家庭になることがストーリー中示されており、ヒロインはラッキーです。
お腹の子に余計なストレスを与えかねない出来事が、大切な安初期定期に入ってから起こった点も、余分な心配不要となりそれも、小さなことながら良かったと思いました。