格差社会による階級違いの恋。悲恋にはつきものですが、この先生の感情表現の切り取りの素晴らしさには右に出るものがありませんね。「泣かせてやろう」という作者側の意図のままに完敗です。涙の物語。しかし、冒頭から疑問が私の中に湧いていて それが最後まで拭いきれず、没頭できませんでした。たった1枚の手紙だけで8年…とか長すぎ…。ジュリーが本気で歌手になることだけが重要なら、金持ちのリコと別れる理由に説得力がない。それをリコが信じたことに リコの理解力が疑問だ。けれども作中、リコが息子をよこせとジュリーに迫りますが、一貫しておらず次には裏切ったことを責める。そういう右往左往するところは「愛」が心の奥底に残っているのだと感じさせる切なさが伝わってきて好きです。終わりにはリコにそっくりなゲイリーがジュリーの下で育ち、リコとの対面となったことで 過去の誤解を悔やみ、新しい明日への希望の日々を感じさせているのですね。