彼の心の内がいろいろな要素(ヒロインが別の人に思いを寄せてる、「仮面」、家庭、ヒロインの弟王子等)で何かがスッキリしたからって何かはまだ残る、そんな感じなのに、政治の混乱回避後、弟による証言でするするっと。でも、解決したと言えるのだろうか。
今や共和国であっても国王の血を引く人は実在して、表だって登場しない元上流階級の社交場では認知されているから、あんな惨めな扱われ方しとんのかいな、との疑惑もやもや。
しかしお話として考えると、ヒロインのしんどさは充分伝わる。
このヒロインは徹頭徹尾彼が好きの一本で、彼に結局ついていく。恋心。だから、彼の心が読めなくても、声をかけられて嬉しいわけだ。そして、思いもぶつける。そこには、王女なのだという変な上から告白などでない、ただぶつかっていく潔さ。かわいい。受け身で相手が出てくるのを待っているのではないのだ。
大人の年齢なのに、少女のよう、という自嘲シーンがその前にあるが、いや、だからこそのこのアタックはいいのだ。
富豪設定で、彼がまた別の住まいに案内してからは分かりやすい展開もするところ、自然を重視したその庭園を、もう少しビジュアル面で出してきて欲しかった気はする。
居づらさを思い切り味わってた、ガード大公とロージーとの結婚披露パーティーで、アレックスが手を差しのべて、ダンスフロアにエスコートするシーンの、ヒロインの左肩に触れるアレックスの左手と、下から見上げる角度で描かれる横顔の絵からは、救われたヒロインの気持ちに共感出来た。
複雑な彼のそれまでのスタンスと降参の間を繋ぐものが、足りない気もしている。
スピンオフ作品とのこと、麻生先生コミカライズの方のHQ「愛と気づくまで」読んだかどうか、記憶がない。
印象薄かったか?
→未読だった。これから読もうかと思う。