新聞の連載記事として取材に当たったら、取材対象と恋に落ちました、というお話。津谷先生の絵はちゃんと大人、しかも西洋人に見えるからいい。マスコミ業界人のえげつなさと、ヒロインの人としての誠意も、しっかり映し出されていて良い。
そして、スーツを着ていなくても、彼がいい物を着ているという絵が描けるから素晴らしい。そして、心の動きも伝わってくる。
本作は、以前書店の陳列の内に見かけたとき、別の目当てがあって来ていて、結局本命を見つけたため購入しなかった(もう後日は無くなっていた)ことから、残念に思っていた。ストーリー中、ヒロインの担当した連載企画、編集長が選んだ彼のデートのお相手がなにげにぶっ飛んでいて楽しい。彼の芝居も楽しい。
人を信じる、それは、確かめたから信じる、という前に、頭からそれはないと思って欲しかった、ということ。エッセンスだよなぁと感じ入った。
また、ヒロインも彼のことを、こういう人たちはそういう私生活、と十把一絡げにして彼の心証を悪くしてしまうが、そこも、とても納得。彼女に悪気は無いつもりでも、一人一人を見つめた事ではない。ヒロインは、ずっとそういう人種を見てきて予断が入ってしまった。正しくも痛い勉強をすることになって、恋愛教本べからず集の学習、という展開かと思ったら、その反省をさせられた上で、初動ミス取り返しのギアシフト。与えられたチャンスは、オンナ力をも精一杯頑張り、努力の甲斐もあって取材を取り付けた。
根性が入っていて良いと思う。
彼は彼で、記者って奴等は、との一纏めに見ての誤解がしこる。再三再四彼らの憶測ゴシップにより傷ついてきた、その不信感は簡単に拭い去れないのだろう。ヒロインの職業がそれである以上は、出会って日の浅い二人、まだ結び付きは堅固とは言えなくて。
結果、取材という接触時間が、彼からの信用リカバリー以上に互いの間に相手のことをもっと知れる絶好の機会になった。自分を受け入れてもらおうと頑張ることは決してばかにしたもんじゃないなと、感心。
しかし、編集長へのカウンタオファーが、なんだそれ、ではある。役得だなと。記事になるんだろうか。読者を欺いたりなんかして。。。
お話だから、笑って終わるんだけれども。
所々メイン二人の絵がラフな感じ。