手を抜いていない絵に典型的に描かれるアッパークラスと、対極の暴力が日常の貧困生活と。出会いも経過も感情の交流も結末も安定のHQ 。ザ・標準という感じで要素全て入ってますが、唯一、ベッドシーンが多すぎて二人の共感シーンの説得力ダウン。特にディナーでヒロインがボジション「昇進」をする場面、両者の溜まり溜まってきた情がこの日もう少し滲んでる心理描写があったなら、恋人関係に雪崩うっていく二人の怒濤の展開に入り込みやすかったのではなかったかと思ってしまいます。婚約報道された彼女と会う場所も状況も特殊ゆえに、主人公が二人との空間に居合わせているなかで、ロッコの切り替えがストーリー展開の要なのに何かサポートのピースとなるものを表現しておいて欲しかった。
あとがきでタイトル未定で制作を始めたようなこと書かれてましたが、原題よりも内容を切り取ったような巧い邦題が付けられたのは、結果的に「情事」描写と符合することになってしまいました。社内の不正行為調査と解決が重いのか軽いのか、読後感わけがわからなくなりました。