反発から始まる二人が、いつの間にか親しく。
初めは互いを胡散臭く思っていたのに、続発する事件に次第に共同でヒロインの事業などに関わっていく。
埃っぽい部屋でそんなムードになりながら、ウッカリ水を差してしまったお母様の慌てぶりが可愛い。
息子を心配する母親の手回しがクスリと笑える。
しかし、二人のキューピッド志願としての裏からの計画的介入を、もしも息子に知られたらヘソ曲げて面倒だろうなぁと思った。笑い飛ばすかもしれないけれども。
一捻り二捻りの展開だが、甘いシーンは少ないので、HQにウットリを求める場合は、この作品は応えてない。
犯人が出ないうちは甘い場面は難しいか知らないが、次第に心通わせるプロセスに二人の仲を滲ませて欲しかった。
ストーリー展開の面白さはなかなか。
イギリスならではのクリプトグラフィーも、二人の結末に一味変わった色付けを添えている。
タイトル意味不明。放蕩者は公爵で、ひとしずくとは温泉水?、他のHQあるあるの珍命名とはまた違った意味で、どこかピンと来ない。村田先生に責任はないけれど。
公爵は貴族最高位。エリザベス女王陛下の話が出てくるなら、もうすこしそっちルートでなんとかならなかったのか、と不思議な気持ちはある。
最近別のコミックで、爵位の話が有ったのでふと思うが、HQは貴族物が多いのに、貴族社会の空気が少ないものが多い。爵位が印籠みたく扱われる割に位にも無頓着。
公、侯、伯、子、男、即ち、「こうこうはくしだん」、というのは語呂合わせのように有るものと思っていたのだが、そこを別途説明した方が今の世の中良いのでは?、と思える。日本が制度廃止したのは1947年、第二次世界大戦後。一方で、英国・ヨーロッパ社会は貴族階級の名残は今も社会に根強く、こうした貴族ものでは時にただの勲章の如き取り扱いになって仕方ないことがあるにしても、貴族同士を扱うストーリーには、公爵がなんたるか、理解した方が面白いこともある。