罪は罪だが、ヒロインに問えるものなのかは、娘の立場からすれば、私のせいだ、とは感じてしまうこと。
でも、そこに、誤解によって歪められた挙げ句のことと気づく彼は、ヒロインに対する扱いをがらりと変える。
侮辱して悪かったと思ったらすぐ悪かったと詫びれば簡単な話、でも、彼はこの状況を、ヒロインを手元に置ける状況を、やめられなかった。
他のレビューアーさんに同感したのは、津谷先生ならではの作風が、生きている点。彼のヒロインへの態度急変がきれいだったこと。
お父さん、良かったね、寛大な処遇で済んで。娘が危険な誤解に巻き込まれたのに、そんなこと、彼女は言うつもりもなかったはずだから。
当初から気になっていた者同士、運命がきっかけを与えてくれた、とも思える。彼の告白がヒロインへの始めの頃の暴挙への罪滅ぼしになって、読み手もわだかまりを残さないで済んだ。